第2話:浅漬けのためなら世界も救う(?)
翌日。
アレンは本当に来た。
しかも、息を切らしてドアを勢いよく開ける。
「きゅ、きゅうりの浅漬けを……っ!」
「そんな命懸けみたいなテンションで買う物じゃないから!」
私は冷蔵棚から浅漬けパックを差し出す。
アレンはそれを宝物みたいに胸に抱いた。
「くぅ……今日も生きててよかった」
どんだけ好きなんだ浅漬け。
と、外で「ズルズル〜」と不穏な音。
見ると、巨大なスライムが道を塞いでいた。
昨日来たやつの100倍くらいデカい。
「危ないっ!」
私が思わず叫ぶと、アレンが前に出る。
剣を抜き、勇者らしいポーズ……のはずが、
「浅漬けは渡さねぇ!」
戦う動機そこ!?
スライムがボヨンと跳ね、体当たりしてくる。
アレンは剣を振るが、スライムはぷにっと形を変えるだけ。
「効いてねぇぇぇ!」
「アレンさん!もっとちゃんと狙って!」
「スライム柔らかすぎ!物理への冒涜!」
そして次の瞬間。
スライムがアレンの背中に飛びつき、ぺったりくっついた。
「ぬぬぬぅ!離れろ!これは無賃乗車だぞ!」
「スライムに電車賃の概念はない!」
焦りながら私は店内へ戻り、
とっさにスライム撃退用の「塩」を手に取った。
そう、浅漬けを守る者は塩をも制する。
「アレンさん!これ使って!」
私は塩を投げ渡す。
アレン、キャッチ成功。
「すまん!いけぇぇぇぇ!」
塩をスライムにぶっかける。
ジュワァァァァ!
スライムは縮み、慌てて逃げていった。
「勝ったぁぁぁぁ!浅漬けの勝利だ!」
「いや、塩の勝利だよ」
アレンは息を整え、照れ笑いして言った。
「……君のおかげで助かった。ありがとう、まどか」
ドキ。
え、なんか急にイケメン全開モード来たんですけど?
「い、いえ。コンビニ店員として当然の仕事ですっ」
心臓がうるさい。
でも、ちょうどその時アレンの手が伸びてきて——
「じゃ、浅漬け代ね!」
あ、はい。
ロマン台無し。
でも、そんなところがちょっと可愛くて……
私は笑ってしまった。
◆次回予告
アレン、浅漬けだけでは栄養不足?
コンビニに“新商品”導入!
まどかとアレンの距離も、もう少しだけ近づく?


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